月曜日, 1月 02, 2006

素晴らしい萬画2

みなさん明けましておめでとうございます。本年も振り返ってよかったと思える年にしたいと思っております。

さぁ久々に萬画をご紹介しましょう。
今回の紹介したい作品は「暁星記」です。

講談社刊
作者は菅原 雅雪さんです。
別冊モーニングにて不定期(のはず)で連載中です。現在5巻まで発刊されています。

この作者は昔、週間モーニングにて
「うしのおっぱい」という作品を書いていました。
そちらの作品は牧場での生活を描いたもので主人公は
非常にのんびり屋なのですが、動物や自然と対話の出来る
超能力の持ち主という設定です。牧場を経営していく中でぶつかる事件や事柄等を描いていた・・・・・はず。
エコロジカルなテーマが主題だった印象がありますが、正直
面白いかというと「うーん・・・」と首をひねるような内容です。
ただ、いわゆる「癒し系」に属する部類だと思いますので、エンターテイメント性を求めない萬画を読みたい方にはお勧めかもしれません。これは欲しい萬画ですね。

さて、前回は石川 雅之 今回は菅原 雅雪。別にマサユキ特集するつもりはありませんが、たまたまそうなりました。

本題に入りますが、「暁星記」。これは字の通り、金星のお話です。テラフォーミング(自分がこの単語を使うことになるとは思いませんでした。テラフォーミングってなに?という方はタイトルの「素晴らしい萬画2」をクリックしてください。ウィキペディアのリンクを貼っておきました。)された金星が自然の力が強すぎ、高度な技術や文明(そもそも高度のな技術や文明の定義ってなんだ?って思いますが)もほとんど失われた状態で、原始生活のような暮らしを続ける人類という世界観です。写真のようなサルやトカゲみたいなのが出てきます。その中で、主人公ヒルコがいろんな活躍をするお話です。
まぁ。いわゆる一つのSF冒険活劇ですね。

この萬画について素晴らしい所を述べるとすればここだ!

《☆出てくる生き物がかっこいい~。》
 菅原さんというかた。前の「うしのおっぱい」でも感じていたのですが、非常に自然科学等の造詣が深いなぁという印象を受けます。ストーリー中の村での生活・生活に使われている道具や狩の仕方等。相当、そういうの好きなんだなぁというのが伝わってくるし、不自然さを感じない。そこも非常に素晴らしい点です。

それにも増して気に入っているのが、出てくる生き物なのですが、「シシザル」とか「トゲトカゲ」「ロクロゲラ」といったネーミングセンスやその動物ごとの習性や行動パターン等に非常に「あーそうだよね!」って感じの感動を受けます。なにがそうだよね!なんだよって所なのですが、環境によって生き物は進化を遂げるということを原点にして考えると、「この世界なら、こういう進化するかも」って思えるのが非常に得点が高いですね。
「風の谷のナウシカ」で、王蟲はムシゴヤシを食べて生きてるとか、粘菌の習性についてとか、宮崎 駿さんもそこらへんの設定こだわってたと思うのですが、この菅原 雅雪という人はその点のこだわりは宮崎さん以上なのかな?って思ったりします。作中に出てくる道具の一つを画像で紹介するとこんな感じ。



















たいまつなのですが、木の皮をはぎとり丸めて携行し、使う時には伸ばして火をつけるというたいまつ。「あー本当にありそう!」って思っちゃいます。

他にも作中で、

「バカ言え!!巣を張り終えたら雌は木を叩いて獲物を巣に落とし始める!!そうなったらここにおこぼれを狙う獣たちが押し寄せるんだぞ!!」

「獣たちが!?」

「特に淵渡りや木走りに気をつけろ」

「ふ・・・淵渡り!」

という会話が出てくるのですが、MASAHNはこういう会話が大好きです。読んでない人は「なんの巣だよ?」やら「淵渡りってどんな?」というような疑問はあると思います。が!その動物達の習性について自然界がそういう風に成り立っている世界なのか。と思ってしまう会話なんです。ちなみに淵渡りや巣を張っているのがどんなか気になる方はどうぞ「暁星記」を見てみてください。もちろんお貸しします。トゲトカゲはちなみにこんな感じです。多少みづらいのは勘弁してください。

ほんすじに戻りますが、この動物達が非常にいいです。ストーリー自体はスタートからは、想像できない方向に進んでいってるような気がしますが、そこは作者の術中にしっかりはまっています。

やや暗めなストーリ展開をしているので、抵抗がある方もいるかもしれませんが、非常にスケールの大きい世界とその中で生きていく人達の心理描写は生々しさを感じられます。是非ご一読を。

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